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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)1443号 判決 1969年3月14日

主文

被告人を

判示第一の罪につき懲役六月及び罰金一万円に

判示第二の罪につき懲役一年及び罰金五万円に

各処する。

右罰金を完納することができないときは、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

昭和四二年一〇月一六日付勾留状による未決勾留日数中一〇日を右懲役六月の刑に算入する。

訴訟費用中証人橋本健、同森田繁に支給した分は被告人の負担とする。

理由

罪となるべき事実

被告人は、

第一、(一)昭和三九年一二月四日頃、大阪市西成区山王町二丁目一四番地伊藤アパート内の被告人方において、橋本健から、同人が他より窃取してきた電気溝切り機一台の売却方を依頼され、それが賍物であることを知りながら預り、もつて賍物を寄蔵し、

(二)昭和四〇年二月二二日頃、前同所において、森田繁から、同人が他より窃取してきた株券一三、〇〇〇株、電話債券八枚の売却方を依頼され、それが賍物であることを知りながら預り、もつて賍物を寄蔵し、

(三)昭和三九年一二月七日頃、前同所において、橋本健から、同人が他より窃取してきた指輪一個の入質方を依頼され、それが賍物であることを知りながら被告人の妻美代子に命じて同市西成区今池町四〇番地トラヤ質店で金八、〇〇〇円で入質してやり、もつて賍物を牙保し、

(四)別紙一覧表(一)記載の日時場所において、同表買受相手方欄記載の者から、同人らが他より窃取してきた同表買受品名・数量欄記載の物件を、それが賍物であることを知りながら同表買受価格欄記載の金額で買取り、もつてそれぞれ賍物を故買し、第二、(一)別紙一覧表(二)記載の日時場所において、萬富造から、同人が他より窃取してきた同表収受品目・数量欄記載の物件を、それが賍物であることを知りながら貰い受け、もつてそれぞれ賍物を収受し、

(二)昭和四三年二月一六日午前五時三〇分頃、前記被告人方において、萬富造から、同人が他より窃取してきた時計、指輪等一〇点をそれが賍物であることを知りながら代金六万円で買取り、もつて賍物を故買し、

(三)同年一月二六日頃、前記被告人方において、萬富造から、同人が他より窃取してきた女物ウール着物二枚及び背広上下・冬物オーバー各一着(時価計五万四、〇〇〇円相当)の売却方を依頼され、それが賍物であることを知りながら翌二七日頃前記自宅において田中某に対し代金三、五〇〇円で売却してやり、もつて賍物を牙保し、

たものである。

証拠(省略)

確定裁判

昭和四〇年一二月四日大阪簡易裁判所宣告、賍物故買罪、懲役一年及び罰金五、〇〇〇円、懲役刑につき三年間執行猶予、付保護観察。同年一二月一九日確定。

右は被告人の当公廷における供述及び昭和四三年四月三〇日付前科照会回答書により認める。

適条

犯罪事実

判示第一の(一)、(二)の賍物寄蔵につき、刑法第二五六条第二項、罰金等臨時措置法第二条、第三条

判示第一の(三)及び第二の(三)の賍物牙保につき

刑法第二五六条第二項、罰金等臨時措置法第二条第三条

判示第一の(四)及び第二の(二)の賍物故買につき

刑法第二五六条第二項、罰金等臨時措置法第二条第三条

判示第二の(一)の賍物収受につき

刑法第二五六条第一項

判示第一の罪と前示確定裁判ありたる罪との併合罪関係につき

刑法第四五条後段、第五〇条

判示第一の(一)ないし(四)の罪につき併合罪加重

刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条、第四八条第二項

判示第二の(一)ないし(三)の罪につき併合罪加重

刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条、第四八条第二項

労役場留置 同法第一八条

未決勾留日数の算入

同法第二一条

訴訟費用の一部負担

刑事訴訟法第一八一条第一項本文

別紙

一覧表 (一)

<省略>

一覧表 (二)

<省略>

<省略>

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